「ゴルフ場における雷から身を守るための心得」

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夏の日本列島は、強烈な日射によって地表が熱せられ、大気が不安定になることで積乱雲が急速に発達します。午後になると空が急に暗くなり、夕立や雷雨が発生するのはその典型的な現象です。特に関東、中部、関西、そして九州北部の内陸部や山岳地帯では、落雷の危険が集中して高まります。ゴルフ場も例外ではなく、自然の猛威に直面する場所となります。
真夏のラウンドや残暑の厳しい日に行われるゴルフは、楽しいスポーツである一方で雷のリスクを常に抱えています。午後から始まる薄暮ゴルフやナイターゴルフは雰囲気も特別ですが、その時間帯こそ積乱雲が発達し、雷の危険性が最も高まるのです。
近年では、気象庁や電力会社、さらには民間企業が運用する高精度の雷観測システムが導入されています。多くのゴルフ場はそれらのシステムを利用し、リアルタイムで雷情報をキャッチしてプレーヤーに警告を出しています。しかし、夕方になるとスタッフが少なくなり、クラブハウスが閉まるゴルフ場もあるため、必ずしも迅速で的確な避難誘導が行われるとは限りません。したがって、プレーヤー自身が雷から身を守るための知識を持つことが不可欠です。
防衛大学校の小林文明教授は「雷研究の第一人者」として、ゴルフ場での雷対策を明確に示しています。教授によれば、雷の危険を感じたら「ただちにプレーを中断し、クラブハウスや茶店など、しっかりした建物に避難すること」が最優先です。
その理由は二つあります。一つ目は積乱雲の移動速度です。100キロ先で発生した雷雲であっても、あっという間に頭上に広がります。そのときに避難を始めても間に合いません。雷は必ずしも上から落ちるわけではなく、横からや地面からも襲ってくるため、悠長に構えてはいられないのです。「光ってから音まで間隔があるから大丈夫」「あと1ホールだけだから続けよう」といった油断は、命に直結する危険な判断です。
二つ目の理由は、ゴルフ場で一番安全な場所が「しっかりとした建物」だからです。鉄筋や木造で四方が壁に囲まれたクラブハウスや茶店は避難先として有効ですが、柱と屋根だけの簡易な東屋や休憩所は安全ではありません。実際、多くのゴルファーが雨宿りに利用するあずまやは、雷避難には不向きなのです。
また、多くの人が誤解しがちなのが乗用カートです。自動車は金属のボディで覆われているため、窓を閉め、手を出さずに座っていれば比較的安全とされています。しかし、オープンカーは別です。屋根がない車は雷に対して無防備です。そして、ゴルフ場の乗用カートも同様に危険です。カートは四方が囲まれておらず、雷が落ちた場合には金属のフレームを伝って乗っている人の体に電流が流れてしまう恐れがあります。
さらに広大でフラットなゴルフコースにおいては、カートそのものが「高い場所」となり、逆に落雷の標的になる可能性もあるのです。もちろん、雷が遠い段階でクラブハウスに素早く戻るための移動手段としては有効です。しかし、すでに雷雲が接近している状況でカートに座り続けたり、雨宿りをしたりする行為は非常に危険です。
つまり、プレーヤーがとるべき行動はただ一つ。「雷の兆候を感じたらすぐに安全な建物に避難すること」です。自然の力に対して「まだ大丈夫だろう」と思う油断こそが最大の危険なのです。ゴルフを楽しむためには、自然を畏れ、敬い、そして安全を第一に考える姿勢が欠かせません。
雷は人間の都合とは無関係に発生し、襲ってきます。だからこそ、プレーヤー一人ひとりが自分の命を守るための意識と行動を持つ必要があります。楽しいラウンドを最後まで楽しむためにも、無理をせず、安全に避難する勇気を持つことが大切なのです。プレーを続けるよりも、自分や仲間の命を守ること。それこそが本当の意味での「ゴルフのマナー」であり、最高のゴルフ体験を完成
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