渋野日向子（26＝サントリー）が挑む次なる舞台は、ハワイ州ホアカレイカントリークラブで行われる米女子ツアー「ハワイ選手権」（10月1日～4日）。シーズンも終盤を迎える中、現在ポイントランキング102位の渋野にとって、この大会はまさにシード権確保を懸けた崖っぷちの戦いだ。80位以内に入らなければシード権を失い、来季の出場権は大幅に制限されてしまう。つまり、彼女に残されたチャンスは限られており、このハワイでの一戦が運命を大きく左右する。
本人はWOWOWを通じて「ホアカレイCCは風が強く、グリーンやティーショットも難しいホールが多い。楽しみながらも結果を残したい」と意気込みを語った。さらに「ハワイでは現地のアサイーボウルを食べたい。トッピングはバナナにハチミツ！」とリフレッシュの一面も見せ、緊張感の中にも自然体で臨もうとする姿勢がうかがえる。
ホアカレイカントリークラブは海風が選手を翻弄する難コース。ショットの精度や風を読む技術、そしてグリーン上での繊細なタッチが勝敗を分ける。渋野は近年スイング調整を重ね、安定感を取り戻す努力を続けてきた。その成果をハワイで発揮できれば、2022年に同大会で2位に入った輝きを再現できる可能性も十分にある。
ただし状況は厳しい。来月予定されているアジアシリーズ4試合にはエントリーしているものの、いずれもリザーブ順位が2ケタ台であり、出場できる保証はない。つまり、確実に出場できる今大会で上位フィニッシュを果たさなければ、シード権の確保はほぼ不可能になる。彼女にとっては、まさに背水の陣だ。
渋野が世界の注目を集めたのは2019年の全英女子オープン。笑顔を絶やさず勝負強さを発揮した姿から「スマイルシンデレラ」と呼ばれ、瞬く間にスターとなった。その後はスランプやケガも経験し、思うように結果を残せない時期もあったが、ファンは彼女の笑顔と挑戦する姿勢に心を打たれ続けている。今回のハワイ選手権は、そんな彼女が再び世界に自らの存在感を示す絶好のチャンスでもある。
「楽しむことを忘れずにプレーしたい」と語る渋野。その姿勢が彼女の強みであり、逆境を乗り越える鍵となるだろう。ファンの期待も大きく、日本から多くの声援が届いている。「渋野ならきっとやってくれる」という言葉がSNSにあふれ、彼女の背中を押している。
ハワイの青い空と強い風、そして美しい海に囲まれた舞台で、26歳の挑戦が幕を開ける。アサイーボウルの甘さで心を癒しながらも、一打一打に未来を懸ける戦いが始まろうとしている。彼女の笑顔が再び輝き、シード権を確保する瞬間を、多くのファンが待ち望んでいる。
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