🌬️⛳️渋野日向子、スコットランドの風に立ち向かう——その姿は、かつての“スマイルシンデレラ”の輝きを彷彿とさせた。2025年7月27日、ISPS HANDA スコットランド女子オープンの最終日、スコットランド・ダンドナルド・リンクスにて、渋野は再び自らの可能性を証明するラウンドを終えた。
5試合ぶりの予選通過。かつてメジャー優勝を果たした彼女にとって、最近の成績は厳しいものだった。誰よりも自分を責め、葛藤を抱えながらクラブを振り続けた渋野。この大会での4日間は、復活のための静かなる闘志が燃え続けた証だった。
最終日、彼女は3バーディ・1ボギー・1ダブルボギーの「72」でホールアウト。トータル1オーバーの49位タイという数字は、決してトップではなかった。しかし、そのスコアの裏には、ひとつひとつのショットに込めた執念と修正の跡があった。
前半はパーフェクトな滑り出し。2つのバーディを奪い、ボギーゼロ。フェアウェイを外してもリカバリーショットは完璧、パットも冴え渡った。6番パー3でのボギー、続く7番パー4でのダブルボギーは痛手だったが、最終9番で奪ったバーディは、まさに“意地”の一打だった。
インタビューでは、目に涙を浮かべながらも笑顔を見せた渋野。「ようやく、少しだけ自分のゴルフが戻ってきた」と語ったその言葉に、多くのファンが胸を打たれた。
彼女の成績に一喜一憂する日本のゴルフファンたちも、今回の予選通過、そして安定したラウンドを何よりの希望として受け止めた。
大会では他の日本勢も健闘。山下美夢有が7アンダーで13位タイ、岩井明愛が6アンダーで15位タイ、勝みなみ、竹田麗央、吉田優利もそれぞれの個性を活かし、海外での戦いを確実に積み重ねている。
一方、20アンダーという驚異のスコアで首位に立ったのは、プロデビュー戦のロティ・ウォード（イングランド）とキム・ヒョージュ（韓国）。彼女たちの強さは際立っており、世界との実力差をまざまざと見せつけられる場面でもあった。
だが、それでも渋野は歩みを止めない。2019年のAIG女子オープンで世界を驚かせたあの笑顔は、今もなお彼女の内側で輝きを放っている。
「調子が戻らなくても、前を向いて、自分のゴルフを信じていく」——そう語った渋野の声は、すでに次戦「AIG女子オープン」への意志に満ちていた。
リンクスの厳しい風、硬く速いグリーン、不規則なバウンド。すべてが選手の技術と精神力を試す中、渋野は“耐えるゴルフ”をやり抜いた。
そしてその姿は、ゴルフというスポーツの本質、「苦しみの中にある歓び」を再確認させてくれるものだった。
この大会の賞金総額は200万ドル、優勝賞金は30万ドル（約4400万円）。だが、渋野にとって最も価値あるものは、ラウンド後に観客から受け取った拍手、そして「おかえり」と囁くようなファンの声だった。
渋野日向子の“再起動”は、ここスコットランドで静かに始まった。次なる舞台は、自らの伝説を築いた「AIG女子オープン」。
その扉の向こうで、再び“スマイルシンデレラ”が輝く日を、誰もが心待ちにしている。
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