コネチカット州グレート・リバーGCを舞台に開催された米国女子下部エプソン・ツアー「ハートフォード・ヘルスケア女子選手権」の最終日。静かな空気の中、世界各国の実力者たちが栄冠をかけてしのぎを削る中、日本の原英莉花が、話題の“ヒョウ柄キャップ”をかぶり、強烈な存在感を放った。
4バーディ・2ボギーの「70」、トータル1アンダー・25位タイという成績は、決して目立つものではないかもしれない。だが彼女のプレーは、数字以上の熱量と意志に満ちていた。堂々としたプレースタイル、そして最後まで自分のゴルフを信じて貫いた姿勢が、多くのギャラリーの心を打った。観客の中には、彼女の名前を初めて聞いた者も多かったが、最終日が終わる頃には、その視線は彼女の動き一つひとつを追いかけていた。
原に続いて出場した谷田侑里香、山口すず夏、伊藤二花といった日本勢も、それぞれの挑戦を全う。世界レベルのコースに苦しみながらも、粘り強くラウンドを重ねた。結果こそ目立たなかったが、経験というかけがえのない財産を手にし、次へのステップを確実に踏み出した。
そしてこの大会を制したのは、米国のジーナ・キム。トータル14アンダーという驚異のスコアで、今季3勝目をあげた。2位に6打差をつける圧勝劇は、彼女の実力とメンタルの強さを象徴していた。22万5000ドル（約3314万円）の賞金総額の中で、優勝賞金3万3750ドル（約497万円）を手にした彼女だが、その背後には数え切れない努力と覚悟があった。
原英莉花の“ヒョウ柄キャップ”は、ファッションの域を超えたメッセージだった。華やかさの裏にある闘志、自分らしさを貫く勇気、そして再び世界の頂点へ戻ろうとする覚悟。今大会の彼女のプレーは、これからの彼女の復活劇の序章であり、多くのファンにとって忘れがたい1日となった。
「自分のゴルフは、まだまだこれからです」――原の言葉は、未来への強い誓いだった。その瞳には、もうすでに次の舞台が映っていた。エプソン・ツアーという挑戦の場で培った経験は、彼女のゴルフ人生において、かけがえのない糧となるだろう。
この日、コネチカットの空の下で、日本の選手たちは静かに、しかし確かに前進した。その一歩が、やがて大きな躍進へとつながっていくことを、誰もが信じている。
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