2025年7月15日、北アイルランド・ロイヤルポートラッシュGCでの「全英オープン」開幕を2日後に控えたこの日、日本のトップゴルファー・松山英樹は静かに、そして慎重に練習ラウンドに臨んでいた。
この日は体調の不安を抱えながらのプレーとなり、ドライバーショットのたびに鎖骨付近に手をやり、わずかに顔をしかめる場面が見られた。記者からの質問に対しても、「良くないです」と短く答えるにとどまり、決して楽観視していない様子がうかがえた。だが、その表情の奥には、プロとしての強い覚悟が宿っていた。
松山にとってこの全英オープンは、今シーズン4度目のメジャー大会。そして、今季最後のメジャー挑戦となる。年初の「ザ・セントリー」での優勝から始まった今季だったが、その後はトップ10に一度も入れず、成績としては物足りないシーズンとなっている。マスターズでは21位、全米プロでは予選落ち、全米オープンは42位という結果に終わり、ファンの間にも不安が広がっていた。
そんな中、6月の「ロケットクラシック」では2日目に66をマーク。最終的に13位という好成績を残し、「久々に良い位置で戦えた」と本人もコメント。そこから2週間は完全にオフに充て、心身ともにリフレッシュした上でこのロイヤルポートラッシュへと乗り込んだ。
このコースは、2019年にも全英オープンの舞台となった場所。そのときの松山は「71」「74」で予選落ちという悔しい結果に終わった。しかしその経験が、今回の挑戦において確実に糧となっている。
「難しいです。狭いですし、グリーンも小さい。全部良くないと、上位には行けない」。練習ラウンド後の松山はそう語った。ロイヤルポートラッシュのコース特性は極めてシビアで、風が読めなければショットの精度も狂い、結果的にスコアに大きな影響を与える。まさに“リンクスの洗礼”を受ける場所だ。
この日の練習では、10番ホールからスタートして9ホールを回った。ドライバーショットでは何度も手を放し、フェアウェイを捉えきれない場面もあった。左に曲がるショットに対して眉間にしわを寄せ、悔しさをにじませる。しかし、それでも諦めることはない。むしろ、松山はこの「歯がゆさ」を力に変えようとしていた。
リンクスコースにおいては、戦略と冷静さが問われる。飛距離だけでは通用しない。風、起伏、芝の重さ、そして心理的な揺れ。そのすべてを味方につけられるかが、勝敗の分かれ目となる。
松山はそれをよく知っている。だからこそ、黙々と準備を続ける。多くを語らず、自分のゴルフをただ見つめ直す。メジャーで勝つということは、そう簡単なことではない。それでも挑み続けるのが、松山英樹という男の矜持だ。
ファンの多くは、彼の背中に「覚悟」を見ている。ただの勝利ではなく、“信念の勝利”を期待している。そして本人もまた、その期待に応えるべく、淡々とクラブを握り続ける。
「(メジャーは)あまり意識はしていないですけど、シーズンも残りまだありますし、良いプレーができて上位で戦えたら」。この言葉の裏には、“語らない本音”が隠れている。それは、「この一戦にすべてを懸ける」という強い決意だ。
ゴルフは孤独なスポーツだ。とくにリンクスでのプレーは、自然との戦いであり、自分自身との対話でもある。風が強まれば、1打で3打分のダメージを受けることもある。そんな中でも冷静さを保ち、状況を受け入れながらベストを尽くす。それが松山英樹のゴルフだ。
過去の全英では結果が出なかった。それでも、彼は逃げなかった。2019年の記憶を抱えたまま、6年ぶりに同じ地を踏む。そこにあるのは、リベンジではなく“再確認”かもしれない。自分がこの舞台で何を学び、どこまで進化できたのかを試す機会なのだ。
体調の不安があっても、彼は前を向いている。痛みを抑えながら、フォームを調整し、感覚を取り戻そうとしている。その一連の動作すべてが、彼の“職人”としての一面を物語っている。
この大会で優勝を狙えるかどうか、それは誰にも分からない。しかし、ひとつだけ確かなことがある。松山英樹は、今この瞬間も“本気”でゴルフと向き合っているということだ。
全英オープンという厳しい舞台において、勝利に必要なのは実力だけではない。精神力、耐久力、そしてなにより“信じる心”が試される。そして松山には、そのすべてが備わっている。
世界のゴルフファンが注目する中、松山英樹は静かにティーグラウンドに立つ。目の前に広がる荒野のようなフェアウェイを見つめながら、彼はまたひとつの挑戦を始めるのだ。
その一歩が、新たな伝説の幕開けとなることを願ってやまない。
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